京都府保健福祉部長 様

 

                

 平成181122日付、8動第68号通知により、「動物の愛護及び管理に
関する施策を総合的に推進するための基本的な指針の公表について」を送付して
いただき、私どもネットワークに対しましても意見を求めて下さいましたことに
感謝しております。

 環境省自然環境局長の基本指針の素案につきましては、昨年貴府に提出いたし
ました「動物愛護行政の一層の推進を求める要望書」の動物愛護の基本的精神が、
より専門的視点から総合的に、完璧にまとめ上げられたものと高く評価しており
ます。

 つきましては、この基本的素案が多くの関係者で検討され、着実な実現に向け
て推進することへの願いを込め、行政そして私たち府民で何が出来るのか、協力
して目的に進むべく日常の活動状況からの意見を微力ながら揚げさせていただき
ます。

 

 

 

         平成19年  月  日

 

 

                       日本動物ネットワーク京都

                              (129名)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

今後の施策展開の方向の基本的視点及び施策別の取り組みについて。

 

国民的動物愛護について、多くの人達の共感と自主的な参加を呼びかけるためには、
動物愛護管理センター等における現状をもっと知ってもらうこと。そして大々的な広報
活動等で、動物飼養についての正しい認識と諸問題の提起を行うことで得る理解が大き
な原動力となるのではないかと確信します。

動物愛護には、動物の遺棄、虐待防止、不妊・去勢の推進、終生飼養の徹底

動物譲渡の推進等々と解決には多くのテーマを抱えていますが、私たち大人がこれら、
一つ一つのテーマの根底に命の大切さを重視し、取り組む姿勢をとおして、次世代を
受継ぐ子供たちに大切な何かを伝達出来ると信じて下記に意見を記させていただきます。

 

動物愛護管理センター等での現状と実態を公にする

動物が好きな人、また、動物に癒しを求める人は近年大幅に増えてきていま

すが、動物愛護管理センター等に持ち込まれた動物がいかに処分への道を辿るのか、
嫌なことはベールの向こうに置き、知ろうとしない心理があります。

しかし、私たちはそれらを直視しなければ、動物愛護問題の解決にはつながらないと思
います。持ち込まれた犬、猫等の年間処分数を公にし、多くの人たちに問題を投げかけ
る必要があると思います。また、家庭で飼われていた動物の持ち込みは、飼主の責任と
して動物病院での安楽死を義務とし、終生飼養を説得し、なおかつ引き取らなければな
らない場合は、行政での安楽死の費用を徴収することで動物を飼うことの責任と自覚を
認識させるべきことだと思います。

 また、動物の処分を仕事として関係しておられる方々の精神的苦痛も知って

もらうことも大切ではないでしょうか。

 

動物飼養の正しい認識の強化

 家庭で飼われる犬、猫の正しい飼い方についてのパンフレット等は、各地方自治体の
窓口等に置かれていますが、無責任な繁殖を防ぐため、府民、市民新聞等やメディアの
協力も得て、動物愛護法の改正を期に大々的な広報活動を行う等、国民の認識強化への
アピール活動が必要ではないでしょうか。

 

 

 

 

 

学校での動物愛護教育

 文部科学省では動物愛護の教育がスタートしています。しかし、学校で飼養できる動
物には限りがあります。最も心が通じやすい犬や猫と接触することが子供たちの心に大
きく作用すると思います。当面は少子化で廃校になった学校等を利用した場所に犬や猫
の保護施設を作り、子供たちと触れ合い、散歩し、マナーを教え、世話をする等の接触
が出来たら素晴らしいですね。また年々増え続ける独居老人の心を癒す場としての活用
も出来るのではないでしょうか。

 

野良猫の対策及び地域猫としての動物愛護活動

 野良猫が多く住みついている地域ではご近所のトラブルが絶えません。でも排除した
ら、保健所に持ち込み処分したらそれで済むとの考えでは、子供たちに生命の大切さを
教えていくことはできないと思います。「今ある命を大切にそしてこれ以上不幸な野
良猫が増えないために」をスローガンに野良猫を処分するのではなく、地域の協力で
不妊・去勢を行い、術後の猫はその地域の猫として見守りながら、減らしていく運動の
啓蒙活動が野良猫を大幅に減らしていく一番の早道だと思います。(私たちネットワー
クでは別紙の文章を作りトラブルの発生した町内に配布し呼びかけをしています。参考
資料として添付します)殺処分等にお金をかけるのではなく、増やさない運動にお金と
エネルギーを費やすことから得るものは大きいと思います。この活動は私たちボランティア
と行政が協力して行うことに意義があり、大きな力となるのではないでしょうか。横浜市
では行政自らの発案として実施されており、高槻市でも行政が野良猫を捕獲し、不妊・去勢
の術後、元の場所に戻すことがされています。

 

里親探しの方策

 府民、市民新聞で保護した犬、猫の状況を定期的に公表し、里親募集の呼びかけを行う。
新聞、テレビ等各メディアに協力を依頼し、紙上や映像での紹介を行う。多くの人達の目
に留まる場所での譲渡会を定期的に設けるなどの努力が必要だと思います。このためには
、保護期間の延長、健康チェック等、多くの問題をクリアーする必要が生じてくると思わ
れますが、何とか努力して里親探しのルーチンを作り上げて頂きたいと思います。また、
各愛護団体が行っている里親探しについても譲渡会の場所の提供などでの協力をして頂き
たいと思います。

 

 

 

 

動物愛護管理センター等の抜本的改革とイメージチェンジの提案

 現在のそれらは、収容動物の殺処分施設として存在していますが、動物愛護の運動が高
まる中、大きな改革が必要なときではないでしょうか。

無責任な飼い方により、全国で年間約40万匹もの犬や猫を殺処分しなければならない状態
を作り出したこと、減少の方向にあるとはいえ過去から施設のあり方の検討もされず、同
じ目的のまま今日まで継続していることに、人間として悲しく恥ずかしく思います。

先進諸外国においても保護動物の取り扱いは様々ですが、段階的計画をたて殺処分を0
にした国もあります。こうした動物への目の向け方は人間性、国民性、を反映したものでも
あります。我が国では戦後62年、経済は発展したものの人間社会の利便性のみを追及し何か
大切なものを置き去りにしているのではないでしょうか。

今回、環境省自然環境局長の指針の内容に、「人は日常の食生活や医薬の分野において、
動物の命を犠牲にしなければ生きていけないが、社会の条理として厳粛に受け止め、
・・・動物の命を軽視したりすることは誤りである」とあります。このことからも、
動物愛護管理センター等の抜本的改革を行い、殺処分ではなく生かす方向での施設作り
に私たちは努力をするべきだと思います。

文部科学省は学校における動物の愛護に力を入れた教育を始めましたが、学校で飼養できる
動物には限りがあります。子供たちに何を伝えたいのか、何を学んでほしいのかの実を
とらなければただ単に動物愛護学習の旗を振っているだけにしかならないのではない
でしょうか。動物管理センター等の建物を府民、市民の憩いの場となるような場所に建設し、
保護した動物の治療や里親捜しの場としての基本業務、動物110番通報の対応等ボラン
ティアと協力して活動できる動物愛護推進事務所や、正しい動物の飼い方やしつけ教室等
も仕事の内容として盛り込み、学童に優しさや思いやりの心を育む校外教室、府民、
市民(特に独居老人)の癒しの場としての活用。訓練された動物を伴った老人施設等
への慰問等、イメージを大きく変えた施設としてスタート出来るように、多くの人の
協力で作り上げたいものです。

これからの社会に一番大切な子供たちの心の育成。また、5人に一人は70歳以上の老人社会
を迎えようとしている今日、精神的身体的健康の維持への動物の果す役割は大きいものがあり
ます。また、長期受刑者の精神的人間復帰に動物との接触を図るなどと希望がふくらみます。
こうした動物との共存のありかたでの姿勢が諸外国に与える印象、評価等々をも考えると、
動物管理センター等の新規建設とイメージの改革は、国や地方自治体、企業等の参加で総力
を揚げて取り組むべき課題ではないでしょうか。

 

動物による危害や迷惑問題の防止について

 正しい飼い方の推進。野良猫の不妊・去勢、地域猫への啓蒙等、府民の理解を得る努力を
することで問題を大幅に減少出来ると思います。その成果と状況を見ながら次への対処を検討
すればどうでしょうか。

 

所有明示(個体識別)措置の推進について

  飼主に対し、迷い動物の返還率の向上や遺棄の防止策として、マイクロチップや
所有明示の必要性を府民に幅広く啓蒙することに賛成です。

  動物販売業者には販売時に飼主の名義でマイクロチップの装着を義務付けること
は徹底するべきです。

  上記を推進するにあたり、マイクロチップのリーダーを動物病院、警察など関係
箇所に多く設置する必要があり、装着時に登録するデーターベース

ネットワークの問題も併せて検討する必要があります。

 

動物取扱業の適正化について

  動物取扱業者の登録制施行後、行政の管理の徹底。

  動物取扱業者に登録証を交付するについては、施設・整備等の図面の提出

や飼育スペース等の基準を満たしているか否か慎重な確認と、交付した後

の管理体制の強化を目的に、定期的、抜き打ち検査の実施が必要です。

  利益追求のみを最優先にし、動物愛護管理法や狂犬病予防法を無視する等の
悪徳繁殖業者の追放は第一の課題だと思います(大阪の繁殖業者の無責任な飼養や
放棄で、犬ブルセラ症が発症、拡大したことなどを考えると、4種感染症等が出た場合、
人にも犠牲が出る可能性もあり、今後このような事態を未然に防ぐ方策の検討が急務です)。
このことを推進するには、行政、民間の愛護団体が一体となって、取り組むことを
検討して下さい。

 ・ ペットショップなどでの販売員は動物に対する広い知識を持った(将来的には
プロの資格者として認定所持者)人が業務に携わり、正しい飼育(成長過程での指導
を含め)の説明と動物を飼養する環境を備えているかなど、命を扱う者として、
責任のある販売を目的としてほしいと思います。

 

 

 

 

 

 

実験動物の適正な取扱いの推進について

 平成18428日付(環境省告示第88号)で出された「実験動物の飼養並びに苦痛の軽減
に関する基準」がいかに遵守されるか、そのための方策についての検討が大きな鍵となると思います。

 日本の動物実験に対する認識は、先進諸外国に比べて非常に低いと聞きます。今回の
3R
の原則を推進するにあたり、それ以前の実験動物に対する認識の向上を図り、
下記についての検討を望みます。

1、        動物実験関連施設の実態調査
    (行政、愛護団体代表による定期的、抜き打ち査察の実施)

2、        動物実験をするに際し、実験責任者名、目的、使用動物
    (代替では出来ない理由)必要頭数等の申請実験後の結果報告
    (実験データーと成果、申請頭数が必要であったか否か・・)を義務とすることが、
     無駄に動物の命を犠牲にしないためにも必要だと考えます。

3、        2のことを公正な立場から査定し、通告出来る立場の調査官の配備

 

産業動物の適正な取扱いの推進について

 動物園や移動動物園はEUが世界基準として掲げる下記、5項目を遵守して頂きたいと思います。
(世界獣医師学教会が掲げる動物福祉の基本)

  1、飢えや渇きからの自由。  2、肉体的苦痛と不安からの自由。

  3、外傷や疾病からの自由。  4、恐怖や不安からの自由。

  5、正常な行動を表現する自由。

 

関係者間の協働関係の構築と人材育成について

 今後の動物愛護活動の展開は指針の素案に記されているとおりです。

行政、獣医師会・・・愛護団体の協力は必然的であり、相互間の信頼関係の上に立った強力な
体制作りが第一歩です。現時点での動物推進員の活動は不透明で、何を目的に、どのような
活動をされているのか、どのような成果があったのか、私たちには確認出来ません。推進員の
構成を、今一度検討した上で、関係者間の協力体制のルーチンを作成し、目的を皆の共通認識
とした上で、活動に向けての取組が大切だと思います。また、多くの府民の理解を得るために、
良識ある活動を目的とした学習や論議、意見交換等の場を設け、動物愛護の推進を目的とする者
の知識と認識の向上を計ることも大切ではないでしょうか。

 各保健所等関係部署においては、動物愛護について認識を持った職員を配置し、府、市民から
の問い合わせや申し出等について、適切な対応及び指導が出来るようにしていただきたいと思います。